堺ディスプレイプロダクトの工場=2024年5月3日午前、堺市、朝日放送テレビヘリから、白井伸洋撮影

 シャープは14日午後3時に2024年3月期決算と新しい中期経営計画を発表する。液晶パネル事業の不振で2月に業績予想を下方修正し、24年3月期は純損益が100億円の赤字となる予想を公表済み。赤字は2年連続で、会社の立て直しには液晶事業の構造改革が避けられない。テレビ向けを中心とする大型の液晶パネルをつくる子会社「堺ディスプレイプロダクト」(SDP、堺市)の堺工場は生産の停止を発表する見込みだ。

 シャープは23年3月期に純損益で2608億円の赤字を出し、24年3月期の黒字回復を「必達」の目標としていた。ただ、スマートフォンなどに使われる中小型パネルの需要回復が想定より遅れたことで、2月6日に業績を下方修正。純損益が100億円の黒字になるとの予想を撤回し、2年連続の赤字に陥る見通しを公表した。陳信旭副社長は同日の会見で「ビジネス環境が急速に変わってきている」などと語っていた。

 年間売上高が約2兆5千億円のシャープのなかで、約28%を占める最大の事業が液晶パネル部品を中心とする「ディスプレイデバイス」だ。この事業で664億円の赤字を出し、関連する建物や装置の減損などでも1884億円の損失を計上したことが、23年3月期にシャープが赤字に転落する大きな要因となった。

 液晶事業のうち、テレビ向け大型液晶パネルの生産を担うのが堺工場を運営するSDPだ。今年4月に公表されたSDPの23年12月期決算は純損益は1156億円の赤字だった。また、三重工場(三重県多気町)などで生産するスマホやタブレットなど中小型向けのパネルも市況は低迷し、工場の稼働率は下がっている。

 シャープが今後、赤字を出し…

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