トランプ米大統領が打ち出した関税政策に対し、徹底抗戦の構えを見せる中国。長らく経済的に相互依存してきた米中は、深まる対立のなかで「断絶」に向かうのでしょうか。中国の産業政策や通商問題に詳しい渡邉真理子・学習院大教授に聞きました。
記事のポイント
中国に関して、①米国が完全に「デカップリング(切り離し)」するのは困難②過剰生産を一因とした不均衡に、世界貿易機関(WTO)のルールが対応できていない③東南アジアや欧州への働きかけを強めていく――と現状を分析します。その上で、日米貿易摩擦の経験を持つ日本が、問題解決の糸口になるべきだと言及しました。
――中国のこれまでの動きをどう見ていますか
「今回の米国の動きは、リスクとしては予想していた範囲なので、中国側は報復関税以外にも、何年かかけて準備してきた対抗措置を次々と打っている状況です」
「ただ、押し切れば勝てると、単純には思っていないでしょう。相互関税が猶予されている90日間の各国の動きから情勢を判断し、さらに敵対的に対抗するかどうかを決めていくとみています」
- トランプ関税、融和か対決か 各国の対応の分かれ目は対米依存度
過剰生産止められぬ中国が突きつけられた高関税
――米国は、安全保障上の重要な物資や技術の供給網や経済関係から中国を切り離そうとする「デカップリング(切り離し)」を進めてきました。どのような経緯がこれまであったのですか
「中国は2001年に世界貿…