深圳日本人学校近くの路上。新たに非常通報ボタンが設置され、厳重な警備が敷かれていた=2024年10月15日、中国・広東省深圳市、小早川遥平撮影

 中国広東省で昨年9月に深圳日本人学校の男児(当時10)が登校中に刺殺された事件で、死刑判決を受けた男の刑が執行されたことが在広州日本総領事館への取材でわかった。中国外務省から21日、在中国日本大使館に説明があったという。

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 執行の日時や場所については説明がなかった。昨年6月に蘇州日本人学校の送迎バスが襲われた事件でも、死刑が執行されたことが今月16日に伝えられており、昨年2件続いた事件はいずれも日本人を狙った犯行か未解明のままになった。

 深圳の事件は、満州事変の発端となった柳条湖事件があった日付に起きたことから、鐘長春死刑囚の動機に注目が集まった。だが、深圳市の裁判所は故意殺人罪を認めた一方、「ネットで注目を集めるために児童を殺害した」とし、判決は日本に一切言及しなかった。

 事件当初から中国側は「偶発的な事件」との説明を繰り返してきた。法廷での日本メディアの傍聴は認めず、日中外交筋によると、いずれの事件でも公判で被害者が日本人学校の関係者であることには触れられなかった。そうした検証を意図的に避けた可能性もある。

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