国内最大規模の仏教教団・浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)が混乱している。布教伝道を巡って対立が続き、実務トップの総長を選ぶ選挙も二転三転。20日に新総長が決まったが、3月に辞任したばかりの元総長の再登板だ。白票が約7割をしめる異例の選出となった。
新総長に選ばれたのは池田行信(ぎょうしん)さん(71)。この日の特別宗会で「宗門内の相互理解が深まるよう努めたい」と訴えた。
混乱のきっかけは、大谷光淳(こうじゅん)門主が2023年1月に示した布教伝道のための「新しい『領解文(りょうげもん)』(浄土真宗のみ教え)」だ。同派のトップにあたる門主は、宗祖・親鸞の子孫が務めている。領解文は同派の信仰上の要点をまとめた230字ほどの文言で、室町時代の浄土真宗中興の祖・蓮如(れんにょ)の作と伝わる。
同派の僧侶や門徒にとって重要な文章だが、現代では理解しにくい言葉づかいもあり、新しい領解文が作られた。その中身に問題があるとして、僧侶や門徒らが異議を唱えている。
混乱が続くなか、23年5月、新しい領解文を推進してきた当時の石上智康(いわがみちこう)総長が健康上の問題などを理由に辞任。後任に選ばれたのが池田さんだったが、執行部の方針に反発が続き、今年3月に辞任した。その後、荻野昭裕(しょうゆう)さんが総長を務めていた。
一方、任期満了に伴う宗会議員選挙があり、特別宗会が18日に始まった。19日には、この宗会議員の改選に伴う総長選があった。
同派の総長は、門主が指名し…