日本将棋連盟は6日、清水市代女流七段(56)を新会長に選出した。退任した羽生善治前会長(54)の後任で、初の女性会長となる。任期は2年。
史上初の女流四冠独占(当時)や女流タイトル獲得43期などの実績を残し、今も現役として活躍する女流棋士が将棋界のかじ取りを担うことになった。過去の会長は全て棋士が務めており、女流棋士の就任は初めて。将棋のプロは、性別を問わない「棋士」と女性のみの「女流棋士」とで、その資格を得るための制度が異なる。
連盟は、総会での投票権や理事になる資格を有する連盟正会員の資格を棋士(四段以上)だけでなく「女流タイトル獲得者、または女流四段以上」にも認めている。17年、清水女流七段は女性として初めて連盟常務理事に就任し、連続4期、運営の一翼を担ってきた。6日、棋士らが年に一度集まって重要事項を決議する通常総会が都内で開催され、5期目の常務理事就任が承認された。さらに新理事らによる理事会の互選によって新会長に選出された。
過去8年の常務理事としての任期では女流最高棋戦となった白玲戦や清麗戦の創設に尽力するなど、棋戦運営や普及面で貢献した。連盟関係者によると、選出には羽生前会長の後押しもあったとみられる。
東京都東村山市出身。故・高柳敏夫名誉九段門下。1985年、16歳で女流棋士に。88年、初タイトルとなる女流名人を獲得。96年7月には当時の初の女流四冠を独占。同年2月に七冠を独占(いずれも当時)した羽生九段と共に黄金時代を築いた。
長年にわたってタイトル戦線で活躍を続け、2020年には「類いまれなる成績」により、史上初の女流七段に。女流タイトル獲得43期は21年に福間(旧姓・里見)香奈女流六冠(33)に破られるまで史上最多記録だった。
連盟会長は過去5代、中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖、谷川浩司十七世名人、佐藤康光九段、羽生九段と名人経験者が務めてきた。女流棋士の会長就任は新時代の到来を告げる「一手」と言える。
なお、他の常務理事は4月の予備選で当選した脇謙二九段(64=留任)、森下卓九段(58=留任)、糸谷哲郎八段(36=新任)、千葉幸生七段(46=新任)、片上大輔七段(43=留任)、瀬川晶司六段(55=新任)が正式に選出された。また、非常勤理事には新任の中村太地八段(37)が選ばれた。糸谷八段と中村八段はともに順位戦A級に所属するトップ棋士で、同い年で同期昇段。運営面で共闘することになった。