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 7月3日、新しいデザインの1万円札が発行される。その肖像画は「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一(1840~1931)だ。渋沢ゆかりの地といえば、東京都北区の王子。6月半ば、新紙幣発行を前に偉人の足跡をたどってみようと訪ねた。

  • 新1万円札発行へ、街は「渋沢栄一」一色 晩年過ごした東京・北区

 JR王子駅から飛鳥山公園へ。言わずと知れた桜の名所だ。江戸時代に8代将軍吉宗が1270本の桜を植え、庶民の行楽地としてにぎわった。訪れたときは、ちょうど色鮮やかなアジサイが見ごろを迎えていた。

晩年過ごした飛鳥山、現存するのは…

 生涯に約500もの企業に関わり、民間外交にも尽力した渋沢。抄紙会社(後の王子製紙)をこの地域に設立し、工場を見晴らす飛鳥山に邸宅を構え、91歳で亡くなるまでの30年間、過ごした。

書庫として建設された「青淵文庫」。堅牢な造りだ=2024年6月14日午前11時8分、東京都北区西ケ原2丁目、石平道典撮影

 残念ながら本邸は1945年の空襲で焼失したが、堅牢な造りの洋館「青淵(せいえん)文庫」と、洋風茶室「晩香廬(ばんこうろ)」は残った。いずれも国重要文化財。邸宅跡地に整備された渋沢史料館の川上恵・副館長に案内してもらった。

 青淵とは渋沢の別名である雅…

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