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 食料品も子どもの習い事も、たまに出かけるレジャーも。あらゆるモノやサービスが値上がりし、わたしたちの暮らしを圧迫するなか、物価高対策を競った今回の参院選では「減税」を掲げた野党側が有権者の心をつかんだ。

 衆院選に続いて「手取りを増やす」と訴えた国民民主は、参院の改選議席を4倍に増やした。玉木雄一郎代表は、参院でも過半数割れに追いやられた与党に対し、「物価高騰に有効な対策が打てていない」と批判した。

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当選を確実にした東京選挙区の牛田まゆ候補に電話し、祝辞を述べる国民民主党の玉木雄一郎代表=2025年7月20日午後10時2分、東京都新宿区の国民民主党開票センター、上田幸一撮影

 減税が参院選の最大の争点に浮上するなか、与党は「責任」をアピールし、野党との違いを出した。「なんとしても消費税を守り抜く。代替財源を示さずに消費税を下げる議論だけをするのはポピュリズムだ」(自民党の森山裕幹事長)。財政運営の面では正論かもしれないが、物価高に苦しむ国民には響かず、SNSでは反発も呼んだ。

 とりわけ、野党の支持に動いたのは若い世代だ。朝日新聞が20日に実施した出口調査では、20~30代で消費減税を求める声がとくに強かった。

 東京選挙区で敗れた武見敬三・元厚生労働相は、こう振り返った。「高齢者が増えれば、若い人たちの負担が増えてしまう。この構造のなかで、若い世代に非常に大きな不満がマグマのようにたまってきている。それが政治的なモメンタムになって、発散された」

どの党と組んだとしても…

 現金給付か減税か。参院選では国民の負担を減らす公約がずらりと並び、減税派に軍配が上がった。石破茂首相は選挙に敗れたにもかかわらず、続投を表明。だが、衆参両院とも過半数を占めない少数与党では、予算を成立させられない。つまり、どんな政策も野党の協力なしでは進めることができなくなった。

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開票が進む中、報道陣の取材に応じる石破茂首相=2025年7月20日午後10時30分、東京・永田町、関田航撮影

 まず、焦点になるのは、現金給付にこだわるのか、減税に踏み切るのか。21日の会見で首相は「物価上昇を上回る賃上げが実現するまでの間について、今回の選挙戦での議論を踏まえ、党派を超えた協議を呼びかけ、議決を得たい」と述べた。

 発言の念頭にあるのは、立憲…

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