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記者会見に臨む立憲民主党の野田佳彦代表=2025年4月25日午後2時5分、国会内、岩下毅撮影

 主要な与野党は13年前、「社会保障と税の一体改革」で消費税の増税に合意した。その中心を担った立憲民主党の野田佳彦代表が時限的な「食料品ゼロ%」に転換した。参院選を前に与党内にも減税論が強まり、持続可能な社会保障制度を維持できるのか、懸念が広がる。

 「私は『社会保障と税の一体改革』を推進した『ザ・当事者』。最終責任者だ」

 立憲の野田佳彦代表は25日の記者会見で、民主党政権の首相時代の2012年に道筋をつけた消費増税に自ら言及した。その上で今は物価高が喫緊の課題であるとし、「まさに値上げラッシュ。将来世代をおもんぱかる政治を進めたが、今を生きる人たちの暮らしも大事だ」と今回の食料品ゼロ%に理解を求めた。

 だが、党内では「豹変(ひょうへん)」(中堅)との受け止めが広がる。首相時代に「将来世代につけを回してはいけない」と訴え、民主党分裂を招きながら消費増税を推進。昨年9月の立憲代表選でも「一回下げてから上げることが可能か」と消費減税を否定していた。

 それだけに野田氏は、食料品ゼロ%を赤字国債に頼らない時限的措置にとどめ、代表選で訴えた「給付付き税額控除」(消費税還付制度)を将来的な目標として掲げ続けると強調。「これまで言ってきたことと一貫性、整合性のある政治判断だ」と主張した。

 実際は党内の減税派に圧されての表明だった。「年収の壁」などで国民民主党に話題をさらわれ、党勢が上向かない中、野田氏は地方集会に出向くたびに消費減税の直談判を受けた。減税派の勉強会への参加議員は全体の3割を超え、野田氏に近い議員たちも減税に転じ始めた。

「悩み、困り、悶絶し、七転八倒」

 こうした緊張状態の中、枝野…

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