東京オリンピック(五輪)が終わって数週間後、遠藤大由(ひろゆき)さん(37)はバドミントン男子ダブルスでペアを組んでいた渡辺勇大(ゆうた)(27)=BIPROGY=に現役引退を伝えた。
五輪の2カ月前に「やめるかも」とは伝えていただけに、渡辺も覚悟をしていたようだった。
「わかりました」
自分が引退すれば、渡辺も男子ダブルスに一区切りをつけることになるとわかっていた。でも、大丈夫という確信があった。
「ミックス(混合ダブルス)1本でも、そこで頑張るだろうから」
渡辺とペアを組んだのは2016年のリオデジャネイロ五輪の後だった。
リオ五輪までパートナーだった早川賢一さん(38)=現BIPROGY監督=が引退。自身も今後について迷っていた時、その年に入社した渡辺から熱烈に誘われた。
「遠藤さん、僕と組んで下さい」
ペアを組むと、渡辺は急成長した。それまで足りなかったパワーをつけ、相手を見ながら自由自在にショットを操った。
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さらに渡辺は混合ダブルスで東野有紗(28)=BIPROGY=と組み、この種目でも世界トップレベルの選手に成長した。
迎えた21年の東京五輪。7月29日、男子ダブルス準々決勝で遠藤、渡辺組は敗退した。
遠藤さんの五輪は終わったが、渡辺には続きがあった。
だから言った…