将棋の渡辺明九段(40)が27日、静岡市葵区の料亭「浮月楼」で指されている第83期名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦一斉対局(通称・将棋界の一番長い日)で菅井竜也八段(32)との一局に臨んでいる。渡辺九段は昨年5月、運動中に左ひざの前十字靱帯(じんたい)を断裂。12月から今年1月まで休場し、復帰後も2度の不戦敗を決断するなど苦境にある。現在の心境を単独インタビューで語った。
「将棋界の一番長い日」の舞台となる静岡に向かう新幹線の中、渡辺明は寡黙だった。
戦えるかどうかも分からなかった勝負に臨み、深夜1時を超える激闘を戦い、震えるような勝利を手にしてA級残留を決めていたのに、である。
重圧から解放され、少しは笑顔を見せるかな……とも想像していたが、渡辺は窮地を脱した手応えよりも棋士として直面し続けている苦境を真正面から見つめていた。
隣席の渡辺はつぶやくように言った。
「ずっと後悔してきました…