左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂の影響で休場していた将棋の渡辺明九段(41)が17日午前、東京都渋谷区の将棋会館で始まった第84期名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)1回戦の佐々木勇気八段(30)戦で復帰した。
午前9時41分、会館玄関に到着してから対局室に向かう足取りは軽やかだった。盤駒を前にすると徐々に集中力を高めていく。1度目の復帰時は松葉づえ姿で、対局開始時から苦しそうな様子も見られただけに、回復ぶりがうかがえた。
A級順位戦渡辺明九段―佐々木勇気八段戦の対局中継
前名人で永世竜王・永世棋王の資格保持者でもある渡辺九段は昨年5月、運動中に靱帯を断裂。12月から今年1月にかけ、手術や入院のために休場した。
1月の復帰後も不戦敗や、ひざの状態悪化による短手数での投了を余儀なくされるなど苦境が続いたが、名人挑戦権を争うA級順位戦は8回戦で勝って残留を決め、最終9回戦も白星で締めくくった。
ただ、その後も状態は思わしくなく、不戦敗を判断せざるを得ない状況などが続いたため、4月10日から6月30日まで再休場していた。
対局に臨むのは3月18日の王位戦リーグ・大橋貴洸(たかひろ)七段(32)戦以来4カ月ぶりとなった。