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温泉旅館「定山渓第一寶亭留翠山亭」内にオープンした風呂屋書店。陳列には風呂おけが使われ、温泉らしさあふれる空間だ=2024年9月、札幌市南区定山渓温泉西3丁目
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 温泉あがりに、心ゆくまで読書に浸る――。

 札幌・定山渓温泉の老舗旅館が今秋、「体験」に価値を置いたユニークな書店を施設内にオープンした。宿泊者のほか、入場料を払えば一般客も利用できる。全国各地から次々に書店が姿を消すなか、大日本印刷(東京)による「異業種」向けの開業支援サービスの力も借りて新機軸を打ち出した。

人気温泉地で唯一の書店

 札幌中心部から車やバスで約1時間の人気温泉地・定山渓。創業65年を超える温泉旅館「定山渓第一寶亭留翠山亭(じょうざんけいだいいちほてるすいざんてい)」は、山と渓谷に囲まれた静かな場所にある。

 「風呂屋書店」は、施設2階の大浴場に続く約130平方メートルの空間に誕生した。書棚には「脱衣棚」や「風呂おけ」を活用して温泉気分を演出。文芸からビジネス書、実用書、ご当地本まで、知的好奇心をくすぐる約2500冊をそろえた。

 いずれも閲覧自由で、購入も可能。ソファをそなえた個室スペースもある。入場料(1100円)にはフリードリンクが含まれ、旅館のラウンジならではの上質なお茶やコーヒーも楽しめる。

 一般社団法人「日本出版インフラセンター」の調べによると、2023年度の全国の書店数は1万918店で、10年前の2013年度(1万5602店)に比べ、3割近く落ち込んだ。また、一般財団法人「出版文化産業振興財団」によると、今年8月時点で書店のない市町村は全体の約28%に上る。定山渓エリアにも書店はなかった。

記事後半では、「ブックラウンジ」ではなくあえて「書店」にした意図のほか、大日本印刷の開業支援サービスについて紹介します。

 元々、「マッサージコーナー」だった場所を、なぜ「書店」に改装したのか。

 企画に関わった第一寶亭留の…

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