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富士山を背景に、真冬の海でサーフィンを楽しむ人たち=2025年2月10日、神奈川県藤沢市鵠沼海岸、中嶋周平撮影

 サーフボードを自転車の脇に積んで行き交うサーファーたち。神奈川・湘南の海辺では見慣れたこの光景が、波紋を呼んでいる。交通ルール上は厳密には「違反」になり得るが、湘南の「文化」として定着している面もあるとの声も根強く、関係者たちは頭を悩ませる。

 季節を問わず、サーファーでにぎわう神奈川県藤沢市の鵠沼海岸。じめじめと蒸し暑い5月の昼間に訪れると、ウェットスーツ姿の人たちが自転車用の「サーフボードキャリア」にボードを載せ、行き交っていた。自転車のフレームに取り付けたフックにボードを立て掛け、ゴムバンドなどで固定する器具だ。

 砂浜の近くには、同様の自転車が十数台とまっていた。キャリアはサーフショップやネット通販で、1万円程度で購入できる。

湘南ではおなじみの自転車用「サーフボードキャリア」はどのように広がったのでしょうか。記事の後半では、起源に関わる「レジェンドサーファー」に話を聞き、専門家が現実的な「解決策」を示します。

県議会で問題提起

 この器具の是非を巡って議論が起きたきっかけは、昨年9月の県議会だった。「自動車や人との接触の危険をはらんでいる。大きな事故につながりうる深刻な問題だ」と、脇礼子議員=藤沢市選出、かながわ未来=が質問した。

 小型の自転車に長いボードを載せたり、ボードを載せていないのにキャリアを畳まず通行したりしているとして、県警に指導や警告を求めた。

 脇議員は取材に「『あれは違反では』という声を市民から聞いていた。車との接触の恐れがあり、注意喚起の意味も込めて質問した」と話す。

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自転車の積載物に関するルール

 県警交通指導課によると、自…

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