京都府の「現代の名工」に選ばれたフランス料理のシェフが、源氏物語の世界をイメージしたフルコースを考案した。24日にホテル日航プリンセス京都(京都市下京区)で開かれる、石山寺(大津市)の鷲尾龍華座主(りゅうげざす)による講演会で振る舞われる。平安時代に思いをはせたフレンチのメニューとは。
コースは全7品。冷前菜は平安時代の装束「十二単(ひとえ)」から、マグロやズッキーニなど12種類の材料を色鮮やかなゼリー寄せに。魚料理は、源氏物語に出てくる「椿(つばき)餅」をイメージして、タイを道明寺粉でくるんで蒸したものに青しそをのせた。肉料理は近江鴨(がも)を平安時代から伝わる4種の調味料をアレンジしたソースで食べる。
考案したのは、同ホテルの総料理長、中埜智史(なかのさとし)さん(58)。平安時代の食材について手当たり次第に調べ、紫式部が源氏物語の着想を得たとされる石山寺を訪れて当時の情景を想像した。さらに、フランス料理が大切にしている「地産地消」にならい、京都・大原の野菜など地元産の食材を最大限に生かした。
中埜さんは「これまでフランスの絵画にちなんだメニューはよくつくったが、古典文学からイメージするのは初めて。醬(ひしお)を初めてフレンチに使うなど新たな発想が勉強になった。違った角度から源氏物語の世界を楽しんでもらえれば」と話す。
講演会「紫式部と石山詣」は24日午前11時半から。講演のあと、特別ランチとして提供される。料金は1人1万3千円。要予約。申し込みはホテル日航プリンセス京都宴会部(075・342・2415)。(河原田慎一)