(21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 日大三4―2県岐阜商 延長十回タイブレーク)
日大三は一回1死二、三塁から田中諒の内野安打で1点を先行した。
県岐阜商は二回、宮川と小鎗の連打から横山の犠飛で同点。五回には2死一、二塁から坂口の右前適時打で勝ち越した。
日大三は八回、1死一、二塁から近藤の中前適時打で同点。延長十回1死二、三塁から近藤、桜井の連打で勝ち越し、その裏を守り抜いた。
敗退が決まった試合後、取材に応じた県岐阜商の監督、ベンチ入り選手20人、記録員の言葉を紹介する。
藤井潤作監督
「この試合は最後まで柴田(投手)に任せる展開だった。彼自身も先に降りたくないと、走者を出してもひたすら粘って投げてくれた。4強に来られたのは選手たちがびっくりするぐらい成長したから。私はコショウや塩をかけて少し味付けしただけ」
柴田蒼亮投手(2年、背番号1)
「初戦からずっと投げて、思った以上のピッチングができて、成長できた大会だった。味方打線が打ってくれて、逆転してくれたからここまで来られた。連れてきてくれた3年生に感謝しかない」
「コントロールが甘めにいったり、力で負けたりする部分があった。真っすぐで押すことができて、三振を取れるような投手になって、また(甲子園に)戻ってきます」
小鎗(こやり)稜也捕手(3年、背番号2)
「自分たちは岐阜大会で優勝できると思っていなかったし、ましてや甲子園でこんなに勝つことができて本当にびっくりしている。ここまで来ることができてありがたいし、楽しくプレーできた。(投手の)柴田は悔し涙を力に変えて、もっともっといい投手になってくれたらうれしい」
坂口路歩一塁手(3年、背番号3)
「日大三はみんなバットが振れていて本当に怖い打者ばかり。とても厚みのある打線だなと思った。対戦できたことは人生の中でも大きな経験。自分たちがやり切れたことを、これからの人生にいかしたい。自分たちは全力を尽くした。日大三には日本一になってほしい」
「(五回裏には適時打を放った)自分が4番として絶対決めなあかんと思って打席に入った。家族には胸を張って頑張ってきたよって言えるかな。大学ではもう野球をしないと決めていたので、最後の夏だった」
「入学してから県岐阜商は1回も甲子園に出られていなかった。野球をするのが最後ということもあり、何としても甲子園に出るという気持ちだった。正直めちゃくちゃ悔しいけど、本当にここまで来ることができてめちゃくちゃうれしい」
駒瀬陽尊二塁手(3年、背番号4)
「(7回2死一、三塁で中堅に抜けそうな当たりを好捕して二塁封殺)七回の守備は柴田が頑張ってくれていたんで、なんとか0点と抑えようと頑張りました。みんな頑張ったので悔いはない。相手はチャンスで一本が出る打撃にすごさを感じた。みんなが一つになって勝つことだけを考えてみんなで一緒に向かっていく姿勢が成長できたと思う」
内山元太三塁手(2年、背番号5)
「(最後の打者になった)次が坂口(路歩)さんだったので、回したら絶対打ってくれるだろう、と思っていた。自分が決めなくてもいいので、次へ絶対つなごうと思っていたけど、つなぎきれなくて……。申し訳ない。3年生の夏が自分で終わっちゃってすごく悔しい。自分が打てなくても先輩が打ってつないで、点を重ねてくれた。良い試合だったと思う」
稲熊桜史遊撃手(2年、背番号6)
「(十回裏の打席は)直球を狙ったが、気持ちが前に出て違う球に手を出してしまった。最後の大事な場面で決めることができなかった。来年、絶対に成長してこの舞台に戻ってきたい」
宮川鉄平左翼手(3年、背番号7)
「自分たちもやりたいことはやったので、悔いはなく野球を終われるかな。(守備中は)ずっと頑張ってくれていた柴田投手をなんとしても助けたいという気持ちだった。柴田投手には感謝しかない」
「(二回裏、先頭打者として出塁)気持ちよく打席に入ることができた。どんどん初球から打っていくというのが自分のモットーだった。それができたんじゃないか。もう本当に悔いはない。本当に楽しかった。いい思い出になった」
渡辺璃海中堅手(2年、背番号8)
「延長十回までできてうれしかった。相手打線は全部食らいついてきて、追い込んでからもとらえてくる。全部強い打球であっという間に外野に飛んできた」
「打撃ではとらえたと思った打球が全部外野の定位置に飛んでしまうなど、まだまだ力不足を感じた。五回の攻撃では良い走塁ができたと思う。守備範囲を広く、肩も強くして戻ってきたい」
横山温大(はると)右翼手(3年、背番号9)
「二回の犠飛は、何としても同点に追いつくという気持ちで食らいついていきました。最後の九回の打席に立つ前にすごく大きな声援があって。ここまでやって来て良かったなと改めて思った。打てなかったけど、ここに立てて、やってきてよかったなと。悔いはないので、胸を張って岐阜に帰りたい」
豊吉勝斗投手(2年、背番号10)
「柴田投手が頑張ってくれたし、打者もいいところで打って、良い試合になった。(3回戦で)先発して思うような活躍ができなくて迷惑をかけたが、投げなくても自分ができることがあると切り替えた。次は自分も活躍して一緒にまた戻って来たい」
和田聖也投手(2年、背番号11)
「いい経験ができた。3年生の最後の舞台、足を引っ張っちゃいけないという気持ちだった。準決勝に投げられなくて悔しい。来年、柴田(投手)たちとまた一緒に戻ってきたい」
中下絢太選手(3年、背番号12)
「最後までみんな頑張ってくれた。後輩たちが頑張って連れてきてくれた舞台。ふがいない3年生だったけど、後輩には感謝しかない。来年は優勝できるように頑張ってほしい。勝ち上がるごとにどんどんまとまって、行けるぞ、という雰囲気になった」
丹羽駿太選手(1年、背番号13)
「準々決勝の横浜戦で、タイブレークのしびれる場面で出してもらえたことが良い経験になった。今日の試合もいつも通り楽しく元気よくできたので、チームとして悔いはない。3年生は憧れの存在だった。1年生1人でベンチ入りして、色々勉強させてもらったことを今後いかしたい」
加藤里玖斗選手(3年、背番号14)
「初回から盛り上がって、みんなでつないで点を取れて、守りでも粘り強く守ってくれた。3年間やりきったので悔いはない。自分も、任された三塁コーチの仕事ができたので満足。ここ(準決勝)まで来られてよかったという気持ちが大きいので、みんなに感謝したい」
関口文翔選手(3年、背番号15)
「いつでも出られる準備をしていた。全国優勝したかったんですけど、突然終わりが来て、本当に悲しい気持ちでいっぱい。ただ、やることをやって負けたので仕方がない。温かい拍手や熱い応援が自分たちの背中を押してここまで来られたと思うので、本当に感謝しかない」
神山堪輔(3年、背番号16)
「相手は何が何でも必死にくる感じがあった。勝ち上がるごとにベンチは盛り上がって良い雰囲気だった。最後まで頑張ってくれていたので、後輩たちは全国制覇できるように新チームに向けて頑張ってほしい」
河崎広貴主将(3年、背番号17)
「(この1年間は)辛いことや苦しいこともたくさんあったけど、仲間たちがいたから頑張れた。全国制覇を目指してやってきた中、(準々決勝で)選抜の優勝チームの横浜に勝つこともでき、自分たちの野球が出せた。きょうも本当にいい試合ができ、悔いはない。この仲間たちがいたから頑張れた。笑顔で野球ができて最高の夏だった」
今津翔太選手(3年、背番号18)
「最初に点を取られたが、このチームなら逆転できると信じてやっていた。みんなしっかりやってきたので負けても悔いはない。横浜戦でタイブレークで追いついていたので、点を取られても焦りはなく、負ける気はしなかった」
本多真大選手(2年、背番号19)
「延長タイブレークに入って2点を取られた時も、ベンチでは『逆転できる』と自然と声があがっていた。ベンチの雰囲気はずっとよかった。全員、全部やりきれたと思う」
渡辺大雅選手(2年、背番号20)
「ベスト4で相手のレベルも高く、柴田(投手)でも捉えられることが多かった。初戦からずっと柴田にまかせきりで、秋以降は柴田に並べるよう、信頼される投手になって柴田をちょっとでも助けたい」
関谷一希記録員(3年)
「いつも通りピンチになっても元気良く声掛けし、最後まで明るい雰囲気でできた。甲子園は夢の舞台でワクワクした。マネジャーとして厳しいことも言ってきたので、今後もその経験を生かしていきたい」