滋賀短大付のエース桜本拓夢投手(右)の脳波を測定する川西弘晃トレーナー=2025年2月6日、大津市、同校提供

 第97回選抜高校野球大会に初出場する滋賀短大付の選手は、時間があればテニスボールを積み重ねてみたり、2人1組でジャグリングをしたりする。実はこれ、集中力を高めるメンタルトレーニングのメニューの一環だ。

 心の面で選手たちを支えているのは川西弘晃トレーナー(57)。米国でアスレチックトレーナーの資格を取り、日本に戻ってからは大脳生理学を駆使してスポーツのパフォーマンス向上に取り組んでいる。

 2月6日、同校で川西トレーナーの時間が設けられた。この日はエース左腕の桜本拓夢投手(3年)ら投手陣の脳波を測定。川西トレーナーは「桜本くんは脳疲労の状態となっている。やはり選抜の出場が決まり、普段慣れない取材などが負担になっていると思います。取材が落ち着けば、普段の状態に戻ると思います」と分析した。

 桜本投手の場合は脳波の形状から見ると、集中力が持続するタイプだという。ただ、集中するまでは時間がかかる。そのデータ通り、「桜本は立ち上がりがあまり良くない。そういった部分を改善できればと願っています」と水野駿部長(36)は話す。

 水野部長が、専門学校時代の恩師である川西トレーナーを滋賀短大付に迎えた。殻を破れないでいる部員のメンタルを強くしたかった。

 テニスボールを積み重ねたり、ジャグリングをしたりするトレーニングは選手たちにも好評のようだ。左腕の西村健吾投手(2年)は「自分の脳波は集中力が高かったです。アップのためのアップとして、テニスボールを積み重ねると、ここから練習だと頭が切りかえられます。本当に集中しないとボールは積み重ねられないんです。あれで調子良く練習に入ることができます」と話した。

 川西トレーナーは「心技体が大切と言われるが、日本では心の部分がぽっかり空いている状態。体のケアはできても、心のメンタルは注目されていない。集中力のトレーニングで彼らの心技体を強くしていきたい」。トレーニングで培った「心」の強さを見せられるか。

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