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「令和6年能登半島地震体験記」の著者・まえだ永吉さん描き下ろしのイラスト。左からまえだ家の父、永吉さん、母、弟

 真冬の寒さに耐えながらの車中泊、断水で探し求めた水やお風呂、災害という非常時のストレス……。能登半島地震の発生時や在宅避難の日々を描いた漫画をSNSに投稿して注目を集めた漫画家がいます。

 石川県七尾市在住のまえだ永吉さん(36)が、コミックエッセー「令和6年能登半島地震体験記」(KADOKAWAから電子書籍で出版)で時にコミカルに、リアルに避難生活を描いた理由、地震から1年が経つ今、伝えたいことを聞きました。

 ――1年前の1月1日、どのような状況でしたか。

 家族で初詣に行って、自宅でそれぞれのんびりしていた午後4時6分ごろ、最初の揺れが起きました。私と父、母、弟と隣で暮らす祖父母と一時は高台に避難し、午後10時ごろに自宅に戻りました。

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2024年1月1日、地震が起きた時=まえだ永吉作「令和6年能登半島地震体験記」から、KADOKAWA提供

 午後4時10分ごろの2回目の揺れが洗濯機の中にいるような横揺れだったので、その衝撃は大きかった。自宅は無事でしたが、2007年の能登半島地震でも被害を受けていて、次に大きな地震が来たらどうなってしまうだろう、と。そう思うと怖くて家で寝られず、車中泊しました。

 その日の夜は、数時間前に地震があったとは思えないような穏やかな天気でした。車中泊の窓を通して、母と空を見ていました。

コミカルな中で伝わる「被災時のつらさ」

 「雲1つないものすごくキレ…

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