才能ある若手漫画家が集い、多くの巨匠たちが巣立った「トキワ荘」の現代版が、東京都日野市にある。築60年余りの多摩平団地の一棟を改修したシェアハウス「多摩トキワソウ団地」。独り立ちをめざす若者らが制作に励んでおり、入居希望者は後を絶たない。
多摩トキワソウ団地は2021年オープン
三重県出身の坂本遊帆(ゆうほ)さん(25)は昨年末、多摩トキワソウ団地に入居した。「1人だとすぐサボってしまい、頑張れない。地元だと仲間もいないし」。身の置き場を探していたときに見つけたのがここだった。
本格的にプロを目指すきっかけになったのは昨年2月。アートを学び、大学院を休学中、先輩に誘われてイベントに出す漫画本を制作し販売した。軽い気持ちからだったが、編集者から「一緒に仕事しませんか」と声をかけられた。その話は立ち消えになったが、助言をもとに大手出版社の雑誌担当者とつながり、企画の話が進んでいる。
「漫画を描いていると孤独に…