澤田瞳子さんの新刊歴史小説「赫夜(かぐよ)」(光文社)は、初版の約1万部すべてに著者の直筆サインが入っている。尋常ではないサインの数。いったいなぜ。
約1万のサインに、のべ1週間、作業時間は約40時間かかったという。本の見返しとなる用紙に澤田さんがサインをして、その後に製本。触りやすく、ペンののりのいい、少しざらついた茶系の紙を装丁家が選んだ。黒のサインペンを何十本も使った。重版の際にはそれにもサインするという。
澤田さんは、作家のサイン本がネット上で高値で転売されていることに心を痛めてきたという。「サイン本がほしいけれど手に入らないという声をよく聞く。全国どこでも、望む人に望む本を適正な価格で届けたいと思った」と話す。
「書籍文化に一石を投じる試…