Smiley face
写真・図版
激しい運動は、かえって体重を増やすことにつながる可能性がある

 運動は、体重を減らすのに役立つというイメージが強い。だが、激しい運動はかえって体重を増やす方向に作用することを、筑波大の松井崇(たかし)助教(運動生化学)たちのグループがマウスでの実験で確かめ、論文として発表した。

 ダイエット目的でジョギングを始めたら、体調がよくなって食欲も増し、体重がむしろ増加したといったケースはよくある。ただ、食事量を変えなくても思ったほど減量しなかったとする報告もあり、体に何が起きているのかはよく分かっていなかった。

人間なら「きつい」相当の運動で

 オスで11週齢のマウス24匹を「安静群」「中強度運動群」「高強度運動群」の3グループに分けた。身体活動量や体温を調べるセンサーをつけたうえで、中強度運動群には分速15メートル、高強度運動群には分速25メートルのトレッドミル(ランニングマシン)運動をいずれも30分間させた。

写真・図版
マウスにトレッドミル運動をさせている実験の様子=松井崇さん提供

 人間に換算すると、中強度は息がはずんで額に汗がにじむ程度、高強度は息が上がり、きつく感じる程度に相当するという。運動前後の活動量や、血液中のストレスホルモンの値も調べた。激しい運動によってホルモン分泌が変動する可能性が考えられたからだ。

活動量と体温落ち、増した体重

 その結果、高強度運動をしたマウスでは運動の1日後、身体活動量が30%ほど少なくなり、体温も前日より0.8度ほど低下。一方で20グラム程度の体重が0.2グラムほど増えていた。中強度と安静の群ではとくに変化はなかった。どの群も、食べた餌の量は変わらなかった。

 激しい運動をすると、体はそ…

共有