【ニュートンから】AIは半導体で進化する(4)
インターネットを通じてアクセスするデータセンター側のコンピューターを「クラウド」といい,各種サービスを利用する側のスマートフォンなどの端末を「エッジ」という。エッジ側に搭載される「エッジAI」の活用が進むと,エッジ側からクラウド側へ送信するデータが少なくてすみ,エッジとクラウドの間の通信量も減る。利用者側およびネットワーク全体の通信コストを減らせるうえに,よけいなデータをクラウド側に提供する必要がなくなり,プライバシー保護やセキュリティの向上にもつながる。
エッジAIには多くの利点があるものの,実現するにはいくつかの課題を解決しなければならない。基本的にAIの処理には,膨大な計算を並列処理で行う必要がある。エッジ側にもそれが可能な半導体デバイス,すなわちAI半導体を搭載しなければならないのだ。
エッジAI用半導体が切り開く未来
データセンター(クラウド側)では,高性能で高価なAI半導体を,消費電力をそれほど気にすることなく使うことができる。一方,スマートフォンなどのエッジ側には,そんなに高価で電力を食う半導体デバイスを搭載できない場合が多い。「エッジAI用のAI半導体は,たんに性能がいいだけではだめです。用途や端末の種類に応じて,消費電力・性能・コストのバランスをとることが非常に重要となります」。産業技術総合研究所AIチップデザインオープンイノベーションラボラトリの内山邦男招聘研究員はそう話す。
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