辛いものを無性に食べたくなることがありませんか。辛み成分は、適度な量なら体に良い効果があるとされますが、激辛のものを食べて体調を崩したり死亡したりした例も。どんなところに気を付けたらいいのでしょうか。(竹石涼子、寺田実穂子)
日常の食事でのケースではないが、米国では「激辛」で深刻な状態になった事例が報告されている。
イベントに参加した47歳の男性が、唐辛子の一種「ブート・ジョロキア」で作ったソースをかけたハンバーガーを食べて救急搬送された。2016年の報告によると、食後、激しい吐き気と嘔吐(おうと)に続き、重い腹痛と胸の痛みが出たという。食道に穴があいており、緊急手術を受けた。ブート・ジョロキアは、ハバネロの辛さを超え、「世界一辛い唐辛子」としてギネス世界記録に認定されたこともある唐辛子だ。
23年には、激辛チップスを水などを飲まずに食べる企画に参加した14歳の少年が、食べた直後に死亡。検視調書などをもとにした現地の報道によると、激辛成分を大量に食べたことが影響したと見られている。また、少年の心臓が肥大していたことなども死につながった可能性があるという。
日本でも今夏、ブート・ジョロキアの粉末が使われていたという激辛チップスで、高校生が体調不良になり、救急搬送された事案があった。
事故情報データバンクによると、過去には国内でほかにも、「コンビニで売っていた激辛と書かれたカレーで、下痢、腹痛をおこし、4日間入院した」「激辛のインスタント焼きそばで、めまい、脂汗、嘔吐を繰り返した」などのケースが報告されている。
東京慈恵会医科大病院で救急患者を数多く診てきた飯倉克人医師(アレルギー学、小児科)は「こうした体の反応を引き起こしているのは唐辛子の辛み成分であるカプサイシン。過剰にカプサイシンが入ってくれば、体は防御反応を起こし、嘔吐や下痢で体外に出そうとする」と話す。
カプサイシンは、口や胃、腸…