10日午前7時35分ごろ、本州と四国を結ぶJR瀬戸大橋線の快速列車が橋上で乗客を乗せたまま停車した。JR四国によると、架線の断線が原因で、快速列車は現場に止まったままだったが、乗客は午後1時ごろに別の列車に乗り換え、岡山方面に向かった。
JR四国によると、列車は高松発岡山行きの快速マリンライナー10号(7両編成、乗客約150人)。瀬戸大橋の上で6時間以上、停車したままだった。けが人や体調不良者は出ていないという。
このトラブルの影響で、瀬戸大橋線は児島と宇多津の間で運行を見合わせ、午後8時半までに部分運休を含め107本が運休し、約1万5000人が影響を受けた。架線を150メートルにわたって張り替える作業を進め、午後8時過ぎに運行を再開した。
JR四国は断線の原因を調査中。快速列車のパンタグラフが損傷しており、パンタグラフか架線に原因があった可能性があるとみて調べるとしている。
瀬戸大橋の上で停車した快速列車の乗客は、午後1時ごろ現場に到着した別の列車に乗り換えた。この列車は、午後2時15分ごろ、児島駅(岡山県倉敷市)に到着。乗客は、橋の上で立ち往生した列車に6時間近く乗っていた不安を語った。
香川県坂出市の男性会社員(50)は7両編成の中央付近、4号車の後部に座っていた。進行方向の5号車に近いドア付近の天井で突然、火花が散って部品のようなものが落ちたのが見えた。乗客はほぼ座っていて、それほど混んでいなかったという。
列車は停電し、徐々に速度を落として停車。その後、「状況を調べる」といった内容の車内放送が流れた。車内には煙が少し立ちこめ、焦げた臭いがした。そのため、男性は3号車に避難した。車内の乗客はみな落ち着いた様子だったという。
男性は普段、マリンライナーで岡山に通勤している。この日は岡山市内で開かれた「おかやまマラソン」に参加する同僚の応援に行く予定だった。
だが、児島駅に着いたのは午後2時過ぎ。「妻に車で迎えにきてもらい、これから家に帰ります」と話していた。
岡山市の高校に通う高松市の男子高校生(16)は、いつものように吹奏楽部の練習に行くため、乗車したが、午前7時半ごろ、列車が緊急停車。他の号車の乗客が「天井から煙が出た」と話しているのを聞いたが、何が起きたのか分からないまま車内で過ごし、モバイル充電器でスマホを充電しながら、運転再開を待ったという。
当初は香川県の宇多津駅に戻るというアナウンスがあったが、途中で行き先は児島駅に変更になった。隣の線路に別の列車が到着し、ドアとドアの間を金属の板でつないで乗り換えた。「海の上で少し怖かったです」。乗り換えた列車内では、水や栄養補助食品、ビスケットが配られた。「明日も学校があるから電車が動いてくれないと困る。そもそも帰れるか分からないので、どうしようかな」と困惑していた。
坂出駅(香川県坂出市)から乗車した大学生の女性(18)によると、快速列車にトイレはあったが、停電のためか、水が流れない状態だったという。「いつ動くか分からないのが不安でした。今は香川に帰りたくても帰れないので、そこが不安です」と話した。
別の女性は「車内で、車掌からのきちんとした説明がなかった」と語っていた。(内海日和、北村浩貴)