噴煙を上げる御嶽山=2014年9月27日午後2時12分、長野県、池永牧子撮影

 行き交う人たちの顔は灰で真っ白だった。泣いている人もいた。大切な2人の仲間の無事を確かめるため、男性はあの日、噴火直後の山道を登った。63人の死者・行方不明者を出し、戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火から27日で10年になる。男性は今も頂上付近に通い、登山者を見守り続ける。

 2014年9月27日昼ごろ、長野県木曽町の田代修司さん(45)のもとに知り合いから電話がかかってきた。「御嶽山が噴火したぞ。大丈夫か」。当時、御嶽山の剣ケ峰付近にあった「御嶽頂上山荘」の責任者をしていた田代さんを気遣っての連絡だった。

 あの日は御嶽山から100キロ離れた長野市で大工仕事の研修を受けていた。とっさに頭に浮かんだのは、山荘にいる20代と30代の男性アルバイトのことだった。電話はつながったが、混乱している様子だった。噴火の規模も分からなかった。

「避難の用意を」と妻に電話

 ふもとに住む家族のことも気…

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