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一人暮らしの高齢者が多く暮らす復興公営住宅「八山田団地」の集会所で体操する入居者ら=2024年6月11日、福島県郡山市、酒本友紀子撮影

 災害時に自力で逃げることが難しい人をリスト化した「避難行動要支援者名簿」から、東京電力福島第一原発事故による避難者が漏れているケースがあることが朝日新聞の取材で分かった。名簿をつくる避難先の自治体によって対応が異なるためで、一部の自治体は対応を見直し始めた。

 名簿は災害時に自ら避難することが難しい高齢者や障害者らについて、住所や連絡先などをまとめたもの。東日本大震災では死者数のうち65歳以上の高齢者が約6割となり、障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍と推計されたことを教訓に、2013年の災害対策基本法の改正によって市町村に作成が義務付けられた。

 対象は「要介護認定○以上の人」や「身体障害者手帳○級を持つ人」など各市町村が地域防災計画で定める。本人の同意を得て、平時から民生委員や消防機関などに名簿の情報を提供するほか、ひとりひとりの支援者などを決めておく「個別避難計画」の土台になる。

  • 高齢者らの逃げ遅れ、防げ 個別の「避難計画」

 市町村は住民基本台帳をもとに作成しているが、原発避難者のなかには事故前に住んでいた自治体に住民票を残したままの人も多い。国や県によると、今年2月時点の避難者は2万4644人だ。

 福島県は避難行動要支援者の対策に関する手引で、「名簿は市町村内に居住する者を対象」とする国の通知を受け「原発事故によって住民票を移さず避難している要支援者は、避難先の市町村の名簿に掲載される」と例示している。15年と22年には、県内の自治体に対し、避難元自治体に要支援者の情報提供を依頼するよう通知。各都道府県にも同様の文書を出しているという。

 しかし朝日新聞の取材で、自治体によっては対応が十分でないことが分かった。

担当者「手が回らない」

 避難先自治体別に避難者数を…

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