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プラボウォ大統領が進める「無償給食プログラム」(MBG)で提供された給食=2025年5月8日、ブカシ、河野光汰撮影
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 インドネシアのプラボウォ大統領が推進する無償の学校給食プログラム(MBG)で、食後に食中毒症状を訴えた子どもが1千人以上に上っている。プラボウォ氏は「不調を訴えたのは0.005%、成功率はつまり99.99%」と独自の理論を展開し、批判を浴びた。日本も今後の支援を約束しており、現地で支持される政策なだけに対策が急がれる。

 午前7時前、ジャワ島西部のブカシにある高校に約600人分の給食を載せた車が入ってきた。校庭のブルーシートの上で生徒が一斉に食べる。日本のような昼食ではなく、朝食として給食が位置づけられており、高校1年の女子生徒は「毎朝学校でご飯を食べられてとてもうれしい」と笑顔を見せる。

 世界第4位の人口約2億8千万人を抱えるインドネシアは、年約5%の経済成長率を続けるが、国内の経済格差は依然として大きい。そうしたなか、プラボウォ氏が昨年の大統領選で公約として掲げたのがMBGだ。幼稚園から高校に通う生徒や妊婦ら約8千万人に栄養バランスの取れた食事を届ける内容で、今年1月から段階的に始まった。MBGは広く支持され、同月のプラボウォ氏の支持率は約80%に上った。

 ところが、開始早々、食中毒の症状を訴える人が続出。地元メディアによると、最初に食中毒の症状が明らかになったのはMBGが始まって約1週間後の1月13日。30人以上の学生が吐き気や下痢を訴えた。

 その後も、同様の症状を訴える人が続出し、4月末までに報じられているだけで計約1千人に上り、5月以降もジャカルタ近郊ボゴールで1日に100人以上が食中毒の症状を訴え、約220人が入院や通院を余儀なくされた。水やたまご、野菜といった材料からサルモネラ菌などが検出されたという。

「給食を届けるたびに心臓ドキドキ」

 ブカシの高校では3月からM…

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