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九州に出されている警報・注意報の様子。黒色部分が大雨特別警報が出た地域=気象庁のホームページから
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 気象庁は11日午前0時20分、熊本県の玉名市と長洲町に大雨特別警報を発表した。命の危険が迫っており、ただちに身の安全を確保しなければならない状況だとしている。気象庁は11日午前9時ごろまでは、最大級の警戒が必要な状態が続くとみている。

 前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、10日以降、九州各地や山口県では線状降水帯が相次いで発生。気象庁によると、11日午前1時40分までの6時間で玉名市では344.0ミリ、熊本市中央区では249.0ミリの雨が降り、それぞれ観測史上1位の値を更新した。

玉名市全域の6万人に「緊急安全確保」

 前線は12日ごろまで同じような位置に停滞する見込みで、九州から東北にかけての広い地域で、警報級の大雨となる可能性が高いという。11日朝にかけて、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の各県で、11日昼前にかけて、宮崎県、鹿児島県(奄美地方を除く)で、線状降水帯が発生するおそれがあるとしている。

 12日午前0時までに予想される24時間降水量は、多いところで九州北部と四国、東海で250ミリ▽九州南部と関東甲信で200ミリ▽近畿で180ミリなど。

 熊本県によると、玉名市は土砂災害や洪水、浸水に警戒する必要があるとして、警戒レベルが最も高い5にあたる「緊急安全確保」を市全域の2万8284世帯、6万3921人に出した。

 消防によると、11日午前0時すぎ、玉名市内の住民から「人1人が(市内の)境川に流されている」と119番通報があったという。

 玉名市内のコンビニエンスストアの店長の男性は11日未明、朝日新聞の取材に「雨は10日午後9時ぐらいから強くなり、ザーザーと視界が見えないような強い雨になった。お客さんの中には『避難に備えて買い物に来た』『あちこちで道が浸水して通れず、迂回(うかい)して店に来た』という人もいた」と話した。

 玉名市の東隣の熊本県玉東町も、町内を流れる木葉川で既に何カ所かではんらんが起きている可能性があるとして、町内の全2026世帯、5191人に緊急安全確保を出した。

 町によると、町内で床上浸水の報告が既に2件あるほか、町内のJR木葉駅前にも浸水情報があるとして、今後さらに被害が広がる可能性があるという。

 町は役場に避難所を設置し、約40人が避難したほか、役場近くで車の中に待機している人もいるという。町の担当者は「見たことがないような雨。ここまでひどいのは見たことがない」と話した。

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