熊野古道を歩く小野田真弓さん=2024年6月16日、和歌山市、筒井次郎撮影

 27年前、市民団体「『熊野古道』を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」を設立した。毎月約10キロずつ、希望者と一緒に古道を歩く。累計の歩行距離は、総延長約300キロの古道を7度踏破するまでに。「言い出した者として、生きている限り、古道を取り巻く変化を見届けたい」

 和歌山市出身。留学先で東西ドイツや中東の学生と語り合って以来、争いが起きる理由を考え続けていた。31歳の時、和歌山県内の若い世代が集い、県を売り出すアイデアを考えるセミナーで「熊野古道を世界遺産に」という案が出た。

 調べると、仏教、神道、修験道が共存する聖地・熊野と古道には、すべてを受け入れる懐の深さがある。世界遺産の理念は、世界の人々が異なる歴史や文化を尊重し、平和への礎にする――。

 当時は世界遺産は一般的でな…

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