熱中症の症状はさまざまだ。「暑い環境にいた後」に体調不良があれば、熱中症の可能性があるという。
日本救急医学会は2024年に、熱中症の診療指針を9年ぶりに改訂した。これまで3分類していた重症度に、新たに最重症群の「4度」を設け、1~4度の4段階に整理した。
めまいや立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛やこむら返りなどは「1度」(軽症)に該当する。涼しい場所で安静にし、水分・塩分をとる応急処置をして見守る。
頭痛や吐き気、倦怠(けん・たい)感や虚脱感、集中力や判断力の低下などは「2度」(中等症)だ。医療機関を受診する。
意識障害やけいれん発作などが起こると「3度」(重症)。入院治療が必要だ。
体の中心部の体温が40度以上となり、意思疎通が難しい重篤な状態が「4度」(最重症)。医療機関で速やかに体を冷やす「アクティブクーリング」などの治療が推奨されている。
アクティブクーリングには、体に水分をふきかけ、扇風機などで皮膚表面の水分を飛ばして熱を奪う「蒸散冷却法」や、冷たい水の中に入る「アイスプール」など様々な方法がある。
熱中症と脱水の関係は?
そもそも、熱中症は、熱によるダメージ(体温の上昇)と脱水が組み合わさって起こる。このため、対策の2本柱は体を冷やすことと、水分・塩分の補給だ。
高温で湿度が高い環境にいると、体に熱がたまり、体温が上昇する。すると汗をかき、汗が蒸発することで体の外へ熱を逃がそうとする。
ただ、汗をかくと体から水分や塩分が失われ、脱水の状態になる。すると、体温がうまく下げられなくなり、熱中症のリスクが高まる。
熱中症かな? と思った時の手順
救急車を呼ぶかどうかの判断はこうだ。
熱中症が疑われるときは、まず、声をかけて意識があるかどうかを確認する。
意識がしっかりしていれば、涼しい場所で安静にし、自分で水分をとってもらう。水でぬらしたタオルなどで腕や足を覆い、風を当てて体を冷やすとよい。
20分ぐらい見守り、よくならない場合は、熱中症の中等症の可能性があるので、医療機関を受診する。
水分がとれなかったり、声をかけてももうろうとしていたりすれば、救急車を呼ぶ。