原爆ドームの対岸で信長貴富さんの新曲「誰にも聞こえぬ声で」を演奏、祈りの歌声を捧げた=越美絵さん提供

 誰にも聞こえぬ声で

 私は祈る

 泣けなかった日の涙を

 この掌(てのひら)に集めながら(宮本益光)

 被爆80年の今夏、広島に県内外の合唱団が集結し、平和を祈るコンサートを催すというので、被爆2世の私に声がかかった。書き下ろしの詩を宮本益光さんに依頼し、混声合唱曲「誰にも聞こえぬ声で」ができあがった。冒頭に掲げた四行詩がそれである。

 企画の仕掛け人である縄裕次郎さんは、広島で活躍する若手合唱指揮者。地方から合唱文化を盛り上げていきたいという思いから、「コーラス・サミット」と銘打って2023年に1回目の演奏会を実施した。2回目となる今回は、広島から発信することの意味に力点を置き、被爆80周年記念事業「平和と美術と音楽と」(Peace Art Project in ひろしま実行委員会主催)の一環として開催することになったという。

いい曲ができると確信

 会場は、被爆建物である旧日…

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