巨人女子チームの佐々木秋羽

 第29回全国高校女子硬式野球選手権大会が19日、開幕する。昨年より6チーム多い過去最多67チームが参加。予選トーナメント(T)を兵庫県丹波市と淡路市で行い、勝ち上がった16チームが決勝Tに進出する。8月2日の決勝は、5年連続で阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれる。

巨人女子・佐々木秋羽選手の高校時代と、野球への思い

 前回大会で花巻東(岩手)の主将として準優勝に導いた佐々木秋羽(しゅう)選手(18)。現在は筑波大に通いながら、読売巨人軍女子チームで内野手としてプレーする。高校時代や甲子園での決勝を振り返り、選手へエールを送った。

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 ――チームとして初の決勝に進み、甲子園でプレーしました。

 甲子園で野球ができたことは、他に勝る思い出はないんじゃないかなと思うほど貴重な経験でした。プレッシャーもあって思うような結果が残せない苦しさもありましたが、甲子園でもチームメートが「笑顔でいこう」と良い雰囲気を作ってくれたおかげで切り替えて野球ができました。

 ――家族を応援していた甲子園で、応援される側になった時間でした。

 父(洋さん)は花巻東の男子硬式野球部監督で、1学年上の兄(麟太郎さん)は同校から米スタンフォード大に進みました。

 もともと、父には花巻東への進学を反対されていました。野球に打ち込んだ先にある、私の進路や将来を思ってのことだと分かっています。それでも、大谷翔平さんをはじめとする卒業生、父や兄と同じユニホームで野球ができることが自分はうれしくて、譲れなかった。

 甲子園では「娘、妹はこんなもんか」と思われるのがすごく嫌で、「ヒットを打たなきゃ」「エラーしちゃいけない」と自分を追い込んでいました。だからこそ周りの笑顔に救われましたし、そこに女子野球の魅力があるとも思いました。

 ――小、中学生のころは男子に交ざって野球をしていました。

 高校に入るまで、一生懸命とは、無表情で真面目にやることだと思っていたんです。高校で女子だけのチームに入ってすぐのころは、笑いながら野球をしていてふざけていると思われないのか心配になったこともあります。

 でも、過ごしていくうちに分かりました。素直に笑顔を見せて野球を楽しくやる方がプレーに良い影響が出て、チームの士気も上がる。力が引き出されて勝てたと思う試合がいくつもあります。

 ――大会後に巨人女子チームの入団テストを受け、合格しました。

 私のなかで一番強いと思うチームで、ここでならもっと成長できると思いました。背番号は巨人で活躍された元大リーガーの松井秀喜さんと同じ「55」を選びました。

 昨年9月、高校女子選抜チームに選ばれ、イチローさんが率いるチーム「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」と試合をしたときに、高校生相手にも優しさがあふれていた松井さんに憧れました。「足痛いからセーフティー(バント)はやめてね」とおちゃめに言われました。

 ――筑波大ではどんな勉強を。

 動作解析や運動学を学んで、選手としての時間に生かしたいです。打撃は上向いてきているのですが、守備がまだまだ。持ち味の足の速さを生かして、もっと試合で活躍したいと思っています。

 ――今夏の選手権に挑む高校生や、野球に打ち込む女子選手へ伝えたいことは。

 笑顔で全力で野球を楽しんでください。「~してはいけない」ということを考えるのではなく、純粋に野球を楽しむことが、その先の野球人生をより彩ってくれると思います。私も同じ選手として、今を精いっぱい楽しみます。

 ささき・しゅう 2006年、岩手県出身。小学生時代に野球を始める。花巻東(岩手)の主力選手として昨年の第28回大会に出場し、決勝は甲子園でプレーした。今春から筑波大体育専門学群に進学し、巨人女子チームにも入団。内野手、右投げ左打ち。

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