告訴団の一人の菅野正克さん。遺影の父健蔵さんは震災から3カ月後に亡くなった=2022年12月17日午後3時23分、水戸市、滝口信之撮影

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電旧経営陣が業務上過失致死傷の罪で強制起訴された裁判で、最高裁は5日付で検察官役の弁護士の上告を棄却した。原発事故からまもなく14年。なぜ事故が起こり、双葉病院(福島県大熊町)の入院患者らはなぜ亡くなったのか――。遺族や告訴団の疑問が晴れぬまま、裁判は終結することになった。

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 「うすうすと(無罪の)判断が出ることは感じていたけど。なんと言っていいのか……」

 原発事故後に父を亡くした菅野正克さん(80)=福島県大熊町から水戸市に避難中=はそう話すと言葉を詰まらせた。

 菅野さんの父健蔵さんは2011年3月11日、肺炎を患い、双葉病院に入院中だった。揺れに見舞われた直後、菅野さんは健蔵さんに会うために病院に向かったが、容体は安定していると言われ、引き返した。

 次に父と会えたのは4月。会…

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