東京都内の私立大学で教員をする65歳の女性は2023年3月、親の介護に直面した。栃木県に住む母親(92)が骨折で入院し、父親(当時93)1人が自宅に残されることに。父親の世話ができるのは、一人っ子の女性しかいなかった。
22年頃から母親に認知症の症状が出始めた。大学教員は代替の確保が難しいので介護に備え、大学側に負担軽減措置を申請していた。それが認められたので授業のコマを減らし、会議もリモートで出るなどし、栃木へ通った。
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女性は愛知県在住で勤め先の東京の大学に遠距離通勤していたが、そこに片道4時間かかる栃木県への往復が加わった。
地元の地域包括支援センターに相談し、母親は要介護4、父親は要支援の認定を受けた。ヘルパーやデイケアなど介護保険を使った訪問介護サービスを受けようとしたが、「他人を家に入れたくない」と父親はかたくなに拒否した。
仕方なく、女性は週に2回以…