記者の質問に答える日本銀行の植田和男総裁=2025年7月31日午後4時13分、東京都中央区、浅野哲司撮影

 日本銀行が4会合続けて利上げを見送った。米国の関税政策をめぐる不確実性が残るためという。だが、物価高の終わりは見えず、日銀に早期の利上げを求める声も出始めた。「物価の番人」はいつ動くのか。

 日銀は今回の展望リポートで、「不確実性が極めて高い」としていた従来の経済見通しから「極めて」の文言を削除した。日米の関税交渉を受けた修正で、植田氏も会見で合意を前向きに評価した。

 ただ、「通商政策などの影響に関する不確実性はなお高い状況が続いている」と述べ、今後、表面化する経済への悪影響を丁寧に確かめたいとした。

 一方で植田氏は、利上げに向けた手応えを口にした。経済がいったん減速しても、「賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持される」との見通しを改めて説明。それが途切れないかが利上げに向けた「大きな判断材料」とした。今冬のボーナスや来年の賃上げ交渉で、輸出企業の動向などを注視する考えだ。

経済界「利上げ遅れれば総裁の責任」

 見極め姿勢を続ける日銀をよ…

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