フジ系のドラマ「愛の、がっこう。」(木曜夜10時)がまもなくラストを迎えるのを前に、恋愛ドラマに目がない放送担当記者として、書きたいと思った。脚本・井上由美子、演出・西谷弘という不倫ドラマの金字塔「昼顔」を手がけた2人がタッグを組んだこのドラマに感じた「物足りなさ」と、それでもなぜ2人の「愛」が魅力的なのかを。
「昼顔」タッグによる教師とホストの課外授業
35歳の高校教師、小川愛実(木村文乃)は、古い価値観を持つ家庭で親のいいなりに育ち、恋愛には奥手。慎重でまっすぐな性格で人間関係には不器用なため、以前つき合った男性にはストーカーをしたあげく、失恋を苦に自殺を図った過去がある。
一方、持ち前の人なつっこさとトークスキルでのし上がった23歳のホストのカヲル(ラウール)は、文字の読み書きが苦手な識字障害を抱える。複雑な生い立ちや何かと金をせびる母親との関係も、彼の生活に影を落とす。
愛実はホストクラブに通う生徒を連れ戻すために歌舞伎町へ向かい、カヲルと出会う。2人は読み書きを教える教師と生徒という関係になるが周囲は歓迎しない。
物語のちょうど中間地点となる第6話では、放送時間の大半を使って2人の現実からの逃避行が描かれた。
悲劇的ではない破滅は物足りない?
そして愛実とカヲルの関係は、高校に発覚する。いよいよここから「昼顔」のようにドロドロで破滅の物語へ……と期待したら、今作はどうも恋も絶望も、微温的に見える。
娘を思い通りにしようとする父親や、体面ばかりを見る勤務先の教師陣に保護者。愛実の周囲は、家庭も学校も音を立てて崩れるような設定ばかりなのに、あまり激情的には描かない。
大人の恋ならではの性愛や愛欲とも遠い。愛ゆえにどうしようもなく破滅へ突き進む「昼顔」のような展開を期待した私には、物足りなく感じていた。
しかし今月4日放送の第9話…