1945年にタイムスリップした現代の少女が、特攻隊員と恋に落ちる物語「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」。TikTokで話題になった汐見夏衛(なつえ)さんの小説は、シリーズ累計100万部を超えるベストセラーとなり、映画も興行収入45億円超の大ヒットになりました。
この物語に、なぜ若い世代はひかれたのか。ライトノベルで「特攻」を題材にした意図を、汐見さんに聞きました。
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デビュー作「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、ネットの小説サイトに投稿したものです。当時は高校の国語教師をしていて、小説は全くの趣味で書いていました。
鹿児島県生まれで、中学生のとき、地元の知覧特攻平和会館に行きました。特攻隊員の遺品などを見た衝撃が大きくて、ずっと自分の中に残っていたんです。
それで、授業でも戦争を描いた作品を取り上げました。でも、戦争の実話を教材にすると、うまくいかないんですね。今の若い人はすごく共感性が高いので、戦争の生々しい話は苦しくて読んでいられないというんです。トラウマみたいになってしまいかねません。
「あの花」は、そういう世代…