特攻で戦死した石田力雄さんの妹・黒部栄子さん(左)を取材する小西結音さん=中央大・松野良一ゼミ提供

 太平洋戦争で特攻により戦死した中央大の学生らの足跡を、現代の中央大生が取材し、特集記事が学内誌に掲載された。取材した学生らは戦死した先輩の遺族たちにも話を聞き、夢もあった大学生の人生が奪われた悲惨さを実感した。

 特集記事に取り組んだのは、中央大の松野良一教授(ジャーナリズム論)のゼミ。2007年から、中央大出身の戦争体験者や戦死者遺族の体験を後輩として聞き取り、記事や映像にまとめる取材に取り組んできた。

 戦後80年の今年は、防衛省や全国の資料館などにあたり、中央大から学徒出陣した学生を調査。特攻関係の戦死者を64人と特定し、戦死者10人の遺族らを訪ねて話を聞いた。

検閲された手紙ににじむ家族への思い

 総合政策学部4年の小西結音(ゆいね)さん(21)は、1945年4月に爆撃機で沖縄方面に特攻出撃した石田力雄さんの妹、黒部栄子さん(99)=札幌市=に取材した。力雄さんは中央大で陸上部主将を務め、手紙でも妹への言葉を添える優しい兄だったといい、栄子さんから「私が死んだら兄について語る人がいなくなる。聞きに来てくれてありがとう」と感謝されたという。

 同学部3年の百武凛花(ひゃ…

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