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高齢者とペット② 太田匡彦記者が考える

 いまや「家族の一員」とも言えるペットですが、高齢者の飼育をめぐっては様々な議論が起きています。高齢者とペットの関係はどうあるのがいいのか、読者とともに考えます。

 犬の飼育数の減少傾向が顕著になった2010年代半ば、ペット業界は高齢者に犬を飼わせよう(買わせよう)という働きかけを積極的に行うようになりました。その際に多用したのが「犬を飼うと健康寿命が延びる」というメッセージです。「犬はサプリメントだと思えばいい」などと言い放つ業界関係者も出てきました。

 こうした動きに、私は危機感を抱きました。14、15歳まで延びた犬猫の平均寿命を考えると、高齢者が子犬や子猫を買えば、最期まで飼いきれる可能性は低い。飼育放棄されて自治体に持ち込まれたら、殺処分です。その意味で、一人暮らしだったり家族の支援が得られなかったりする高齢者がペットを飼い始めることに、私は否定的でした。

 その頃、全国の自治体で、飼い主の病気や入院・入所、死亡を理由に飼育放棄される犬猫が目立ち始めます。自治体や動物愛護団体は、高齢者への保護犬・保護猫の譲渡に消極的になりました。

保護犬・保護猫の譲渡会で高齢者が門前払い

 結果、なにが起きたか。保護…

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