作曲家やその楽曲は、時代や政権によってどのように受け入れられ、社会にどんな影響を与えるのだろうか――。
戦後80年を迎える今年。そんな問題意識から戦争の時代を見つめ直す茨城県筑西市出身の研究者が7月6日、地元で市民講座を開く。2度の世界大戦でナショナリズムが激化したドイツを中心に、聴く人の心を豊かにするだけではない音楽の歴史を正負両面からたどりながら、いまに通じる教訓を学びたいとしている。
講師を務めるのは石井萌加さん(29)。県立並木中等教育学校の1期生で、慶応大を卒業後、東京大大学院に進学。「ドイツ文化史」や「音楽学」が専門で、現在は博士課程で研究を重ねる一方、東洋大や順天堂大で語学の講師を務めている。
3歳から始めたピアノも玄人はだしで、「日本バッハコンクール」一般A部門で第1位の金賞・ベーレンライター賞に輝いたことがあるなど活躍は目覚ましい。
研究生活で注目しているのは、バッハ(1685~1750)やベートーベン(1770~1827)と並び、「3大B」と称せられる作曲家ブラームス(1833~97)だ。ベートーベンが没した後のドイツ音楽界で、器楽曲の代表的な作曲家として交響曲で成功を収めた。
都合よく形成された「ブラームス像」解き明かす
「20世紀前半のドイツ語圏…