史上最年少の26歳2カ月で当選した兵庫県芦屋市の高島崚輔市長(28)は、5月で4年の任期を折り返した。この2年間の手応えや今後の課題について聞いた。
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――市の教育大綱に掲げた「ちょうどの学び」についてこの2年間の成果は
思った以上に進んでいます。芦屋市は年4回、成果について子どもたちの実態を調査しています。市内全体ではそんなに変わらない。それはそうですね、1年目だから。でも、ONE STEPpers(ワンステッパーズ)を履行した先生のところの子どもは、主体的な意識が高まっているというのが定量的にわかっています。教育大綱で方向性を示し、この方向性に進みたいというのはあるけれど、どう授業を変えるのか、どう子どもたちと向き合うのかは先生に考えてほしいと、「信じて委ねてみよう」というやり方が、思った以上にうまく進んでいるなというのが、特にこの1年間ですね。
《ちょうどの学び》高島崚輔市長の施策の一つ。一人ひとりの個性や特性、興味関心、理解度などを踏まえ、それぞれにとって公正かつ最適な学び。
《芦屋市の教育の実態調査》主体的な学びなどについて、小学3年~中学3年約4千人を対象に、児童生徒が自己評価する調査。芦屋市によると、「『授業を進めるのは、先生ではなく、自分だ』と思いながら学んでいる」などの項目がアップした。
《ONE STEPpers(ワンステッパーズ)》「探究的な学び」に関心の高い教職員が自らの意思で集まり、研究を推進するチーム。
――「信じて委ねる」とは
自分で相手の可能性の限界を決めないこと、です。例えば、「小学生だからこんなもんやろ」と思わずに、どこまで信じられるか。こっちが勝手に過小評価しないということは大事だと思っています。
「信じて委ねる」というキーワードは、教育委員会から出てきたんです。大きな力を持つなと思いますね。学校でやってみて、この2年間、すごくよかったというところがまず土台としてあります。
これは学校だけじゃない、まちづくりもまったく同じです。「どうせ市民には難しそうやから、わからへんやろというところは、はしょっとこ」じゃなくて、ちゃんと説明したら伝わる。
――課題だと考えていることは
先生方や教育委員会と話をしていて、あらためて大事やなと思ったところですが、そもそも「学校が安心して過ごせる場所になる」ということです。これは基盤に据えなければいけない。安心できる土壌がないと、「ちょうどの学び」は成り立たないというところは、痛感しています。
子どもたちが安心して学校に通えるように、学べるようにということで、すべての小学校、中学校に1人ずつPEACE(ピース)サポーターを配置するなど、さまざまやってきて一定成果が出始めているなと思います。がらっと変わりました、全部の学校が全部のクラスが変わりました、ということはもちろんないので、長い目で見てやっていなかければならないですが、ただ、少しずつ変化は見えてきているというのはいいなと思います。
《PEACE(ピース)サポーター》不登校などの子どもに対し、心のケアなどの支援をする。2025年度は市内の全小中学校に1人ずつ配置している。
学校は何のためにあるのか
――「ちょうどの学び」は入試に対応できるのでしょうか
そもそも、いまの入試でいい…