猛暑が続く中、「スマホの熱中症」に注意が必要だ。炎天下で動画視聴や充電を続けるとスマホが熱くなり、機能が制限される。バッテリーが劣化する可能性もあるという。スマホを守るために、できることは。
「高温注意。本体温度が下がるまでお待ちください」
炎天下になった7月のある日、横浜市の動画配信者「石丸グエン」さん(27)のスマホ画面にメッセージが表示され、画面が暗くなった。スマホを触ると「熱された鉄板のよう」に熱く、反射的に手を離したという。
首都圏の観光名所を歩く動画配信の最中だった。暑い日が続き、スマホが過熱して動作が遅くなったり、アプリが急に終了したりということが頻繁に起こった。
冷房の利いた施設に入って携帯扇風機で風をあてたり、熱がこもらないようスマホカバーを外したりと試行錯誤。いまは市販の「スマホクーラー」を装着して配信する。「スマホの熱中症は配信者にとって深刻な問題」と話す。
NTTドコモによると、スマホは使用したり充電したりすることで熱を発し、炎天下ではスマホの内部に熱がこもった状態になる。いわば、「スマホの熱中症」だ。
スマホに熱がこもると、動作が重くなったり、カメラなど一部の機能が制限されたりする。さらに高温になると、電源が落ちたり、電池が劣化したりするという。
「熱中症」になる温度は機種によって異なるが、表面温度が40度前後になると、機能が段階的に制限されるケースが多いという。同社の実験では、直射日光下に放置すると、低温やけどのリスクがある46度まで上がることが確認された。
予防策や冷まし方は?
同社によると、予防のためには高温下で長時間使用することを避け、スマホの温度が上がってきたら涼しい場所で一度動作を止めることが重要だ。スマホの負荷を減らすため、使っていないアプリを閉じることも有効だという。
おすすめの冷まし方は、日陰に置いて携帯扇風機などで風をあてること。充電することでも発熱するので、温度が下がるまで充電は避けたほうがよい。画面の明るさを下げたり、電源を切ったりすることも効果的という。
一方、保冷剤を密着させたり、エアコンの吹き出し口に置いたりして急に冷やすと、内部に結露が起きて故障する可能性があるので注意が必要だ。
バッテリーの劣化、発火の恐れも
高温になると、バッテリーにも悪影響を与える。
スマホ機器修理店の「スマホスピタル神田店」によると、夏場はバッテリー劣化の相談や、交換依頼が増える傾向があるという。
「直射日光が当たる場所にスマホを放置してしまった」「バッテリーが急に減りやすくなった」などの内容で、バッテリーが減少する理由は使用されているリチウムイオン電池が高温で劣化したためとみられるという。
バッテリーが膨張し、スマホの画面が浮いてしまう事例もあるという。こうした事例については「最悪の場合、発火する危険性もある。すぐに相談してほしい」と下山顕店長は話す。
注目高まるスマホの冷却グッズ
スマホの冷却グッズも注目を集めている。
ビックカメラ池袋本店(東京都豊島区)は、冷却シートなどスマホの冷却グッズ約20種類を取り扱った棚を設けた。
担当の片平円香さんは「気温が高くなるにつれて関心が高くなっている」と話す。花火大会や地図ゲームのイベントがある日には、「スマホが熱暴走で止まった」という客で爆発的に売れたこともあったという。
酷暑での「スマホの熱中症」を防ぐために
・使っていないアプリは閉じ、高温下での長時間使用を避ける
・温度が上がってきたら涼しい場所で一度動作を止める
・日陰に置いて携帯扇風機などで風をあてる
(保冷剤やエアコンで急に冷やさない。結露が故障の原因に)
※NTTドコモなどへの取材による