気候変動が激しさを増す中で、米どころでは、おいしい米を作り続けるための努力が続いています。作り手だけでなく、食べる側にできることも、考えます。
暑さに弱めコシヒカリ
半世紀近く、作付面積1位を維持してきたコシヒカリ。もっちりして甘い食味が愛されてきた。だが、猛暑がその座を揺るがしかねない状況になっている。
コシヒカリという品種を生んだのは福井県農業試験場だ。小林麻子・品種開発研究部長は「近い将来、福井県の開花時期の気温は1.4~4.4度は上がると予想されています」と話す。
気温が上がるとどうなるのか。小林さんが見せてくれた写真には、白く濁った米やひびが入った米が写っていた。
これまでにもフェーン現象による一時的な水不足などで起きることはあったが、こうした品質の低下が恒常的になりかねない。参考になるのが2010年の猛暑。全国的に1等米の比率が落ち込んだ。
「国内で暑さに強い品種はまだ少ない」と小林さん。ちなみに、コシヒカリの暑さに対する耐性は「やや弱」。作付面積上位の品種はいずれも暑さに弱い。ほかにも害虫が越冬し、生息域が広がるといった問題もある。
高温高湿になると、もみに実が入らない不稔(ふねん)が増える。また、育つスピードが速くなりすぎたり、もみの数が増えすぎたりすれば栄養が行き渡らない。
どうしたら、暑い中でも、不稔、収量、品質、食味の問題をクリアできるのか。
■「15年先」を見据えて…