ナラ枯れで伐採後の切り株周囲に生えたカエンタケ=2023年、島根県内、福井修二さん提供

 人が食べると死に至る場合があり、触るだけでも炎症を起こすことがある猛毒のキノコ「カエンタケ」を食べる動物を初めて確認したと、森林総合研究所(茨城県つくば市)と島根県の職員が論文で報告した。

 カエンタケは人の指のような形と真っ赤な色が特徴。自然毒をまとめた厚生労働省の資料では「毒性は強く、食べても、触っても毒である」とされ、症状は「食後30分から、発熱、悪寒、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、手足のしびれなどを起こす。2日後に、消化器不全、小脳萎縮による運動障害など脳神経障害により死に至ることもある」という。実際に死亡例もある。

 もともとはあまり見られないキノコだったが、近年、各地で被害が広がっているナラ枯れの跡地で見つかることが多く、自治体が注意を呼びかけるなどしている。

 島根県中山間地域研究センター農林技術部長の福井修二さんは2022年、ナラ枯れで伐採されたコナラの株元に生えたカエンタケを採取。すると翌日、キノコの中からハエの幼虫がはい出てきた。

 森林総研森林昆虫研究領域チ…

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