Smiley face
写真・図版
「この挽歌集をつくらないと、先に進めなかった」。自宅でみとった猫の骨つぼだけで15個もあるという=東京都世田谷区のキャッツミャウブックス、横関一浩撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 多くの保護猫を引き取り、愛し、見送ってきた猫歌人・仁尾智さん。五行歌から短歌の世界に入り、いつしか「猫歌人」を名乗るようになりました。その背中を押してくれた言葉とは――。

いまの創作活動は手厳しいとも思える評価から

 短歌結社に入ったことはない。なにか賞をとってデビューしたわけでもない。ブログやラジオに投稿を繰り返しているうちに、自然と猫の短歌の割合が増え、「猫歌人」を自称するようになった。

 この道を進むのに、背中を押してもらった言葉がある。十数年前、歌人・枡野(ますの)浩一さんの「枡野浩一短歌塾」に1期生として入塾した。塾の「通信簿」として渡された総評に、こう書かれていた。

 「あなたの歌の中ではドラえもん短歌が突出していい。あのレベルの猫短歌が増やせると無敵なのに。散文はつまらなくもないけど、生身のあなたのほうが面白いのでは、と思わせる出来です。総合力で勝負するしかありませんね」

 手厳しい評価とも思える。だが、できることをなんでもやりなさい――そう言われたのだと、受け止めた。それから、短歌とエッセーを組み合わせた雑誌連載を手がけたり、短歌とイラストを添えた一筆箋(せん)をつくったり。「総合力を意識してきた結果が、これまでの創作活動につながっています」と振り返る。

「あなたがやる必然性はあまり感じられない」

 もう一つ、いまの活動を支え…

共有