福島県北部の「道の駅」に掲げられていた「皇室献上桃生産地」の木札の写真=2023年6月1日(画像の一部を加工しています)
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 皇室に献上すると持ちかけて農家から農作物をだまし取ったとして、詐欺と偽造有印公文書行使などの罪に問われた農業園芸コンサルタント加藤正夫被告(76)の公判が2日、福島地裁(島田環裁判長)であった。検察側は懲役3年を求刑。弁護側は詐欺については無罪を主張、偽造有印公文書行使については執行猶予のついた判決を求めた。

 検察側は、献上品の推薦権限があるとの虚偽を被害者に長期間信じさせたとして「巧妙な犯行で悪質」と指摘。福島、茨城の両県での4事件で起訴されていることを挙げ、「規範意識が鈍っている」と述べた。

 弁護側は、「宮内庁が被告に推薦権限を付与した事実は否定できない」と主張。被告が桃などを宮内庁に送った形跡がないとの捜査結果にも「警察官が伝票を見落とした可能性がある」などと反論した。また、偽造有印公文書行使罪については、「高齢であり、約1年も身柄拘束されている」と執行猶予を求めた。

 被告は最後に「私欲で詐欺をやって農産物を回収したことはございません。献上品の推薦権限があると信じてずっとやってきた」と訴えた。ただ、被害者には、「結果として迷惑をかけた。申し訳ございません」と謝罪した。(波多野陽)

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