フォーラム ペットと災害③
地震や豪雨、山火事など、かたちは様々ながら、毎年のようにどこかで大きな災害が起きています。そんななか、行政や獣医師、動物愛護団体は、ペットと飼い主への対応を、どう現実に合ったものに更新しているのでしょうか。まずは災害派遣獣医療チーム「福岡VMAT」の活動を取材しました。
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災害発生から48時間以内に活動開始
熊本地震の本震が発生した翌日、2016年4月17日の夕方、獣医師・船津敏弘さんの姿が熊本県庁にあった。福岡県内の獣医師らで構成される災害派遣獣医療チーム「福岡VMAT」の先遣隊として現地調査にあたるためだった。
福岡VMATはその3年前に発足していた。東京出張中に東日本大震災にあい、福島県内で動物救護ボランティアに携わった船津さんの発案だった。
「被災地では地域の獣医療も大きなダメージを受ける。一方で、医薬品や療法食が不足したり、ライフラインが止まったりして体調を悪くする動物も出てくる。飼い主への支援も含め、被災地の外から獣医療を提供する仕組みが必要だと考えました」と船津さんは振り返る。
東日本大震災の被災地から戻った船津さんは、大規模災害の発生から48時間以内に活動を開始できる実動部隊の設立を模索し始める。福岡県獣医師会の理事会を説得するとともに、米国や欧州の取り組みも参考にして、13年6月、日本で初めてのVMATが福岡に立ち上がった。
同時に、空いている入院室を…