九州電力は20日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機で起きた作業員の内部被曝(ひばく)について、防護具を脱ぐ際に放射性物質を体内に取り込んだと推定する調査結果を公表した。再発防止策として脱衣手順を見直し、中止していた定期検査を再開することを明らかにした。
九電によると、協力会社の男性作業員(39)は10日、定期検査中の3号機で他の2人と二重の防護衣、全面マスク、二重のゴム手袋を着用し、原子炉容器上部ふたの手入れをした。作業後、顔付近に放射性物質の汚染が確認され、翌日、微量の内部被曝(ひばく)と判断されていた。
作業員の防護具に破損などの異常はなく、脱衣の際、ゴム手袋の下につけていた綿手袋が靴下などに付着していた放射性物質で汚染され、その綿手袋で顔付近を触れ体内に取り込んだと推定。全面マスクを取り外す際、吸入した可能性もあるという。
汚染レベルが高いエリアから退出する際の九電が定めた脱衣手順は主に7工程あり、これまで九電の原発で内部被曝はなかった。当該作業員は手順に従い顔付近を触った意識もないといい、担当者は「偶発的なことが重なった」としている。
対策として、脱衣手順に補助員による全面マスク表面のふき取りと綿手袋の取り換えの2工程を追加した。全面マスクを使用する定期検査は中止していたが、新しい脱衣手順で再開するという。
九電は同日、佐賀県と唐津市、玄海町に調査結果と再発防止策を報告した。