「国民民主党の現在の支持基盤の軸足は、一つは玉木代表や榛葉幹事長が重視するようなネット世論、もう一つは連合の4産別です。両者は重なる部分もありますが、記事に書かれているように、大きな溝があります」
5月1日配信の記事「『いいね』で変わる政策 連合、玉木氏らに不満『SNSばかり見て』」に、政治学者で中央大学法学部教授の中北浩爾さんは、こうコメントした。
記事では、選択的夫婦別姓などをめぐる国民民主党の政策的な主張が、SNS上の反応に過敏になって揺れており、最大の支持団体である労働組合の全国組織・連合がいらだつ様子を描いた。4産別とは、連合傘下の産業別労組のうち、国民民主を支える自動車総連や電力総連など四つの民間産別のことだ。
中北さんはコメントで、選択的夫婦別姓をはじめ「103万円の壁」の引き上げ幅などでも、国民民主と連合の政策面の乖離(かいり)が広がっていると指摘。今のところ選挙に連戦連勝で政党支持率も高いため、連合内では批判は表だっていないが、「くすぶっていることも事実」とした。玉木雄一郎代表については、ネット世論と4産別の間でバランスをとりつつ「細いロープを曲芸師のように渡り切ろうと」していると評し、その先にある目標は「玉木政権の樹立」ではと読み解いた。
もし、自民・公明両党が担ぐ形で玉木首相が誕生したら、どうなるのか。中北さんは、かつての自社さ政権の際、支持していた社会党と民社党が与野党に分かれて連合の政治活動が困難になった例を引きつつ、連合は支持する国民民主と立憲民主党が与野党の立場に分かれ「股裂き状態」に陥ると予測する。
中北さんは、自公の狙いは、やがて縮むであろう玉木代表へのネット世論の支持ではなく「強固な組織力をもつ連合の4産別」だと指摘した上で、こうコメントを締めくくった。
「『ハーメルンの笛吹き男』に連れられていった子どものように、4産別は自民党へと連れられて行ってしまうのでしょうか。そうなると、『政権交代可能な民主主義』という平成の政治改革の目標は、最終的に露と消えかねません」
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