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朗読劇で「乙女の悲劇」を伝えた愛宕劇団の団員たち=2022年8月20日、北海道稚内市
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 第2次世界大戦終戦の「玉音放送」の後も、ソ連軍との戦闘が続いた南樺太(現ロシア・サハリン南部)。そこでソ連兵の陵辱を恐れ、真岡郵便局の9人の女性電話交換手が自ら命を絶った。今年も命日の8月20日、北海道稚内市で慰霊祭が営まれるが、同僚や肉親、友人らの高齢化は進み、訃報(ふほう)も相次ぐ。戦後80年を来年に控え、「九人の乙女」の悲劇の継承は岐路に立つ。

 札幌市の音楽・イベント制作会社「AkashicRecords」の設立者で歌手でもある中間真永(まえ)さんは、真岡郵便局の悲劇を舞台「九人の乙女~氷雪の門」として伝える活動を続けている。演じるのは2015年に同社が運営する音楽学校「愛宕音楽院」の生徒たちと立ち上げた「愛宕劇団」だ。

 活動の原動力には「乙女」の同僚で、13年に他界した母金川一枝さん(享年84歳)の意志もある。

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