「戻るまで自主練!」
21日の石川県吹奏楽コンクール出場を約2週間後に控えた珠洲市立緑丘中の音楽室。吹奏楽部顧問の中谷百(ひゃく)教諭(25)が、急用で教室を後にする。
部員たちは早速、先輩からアドバイスを受けたり、ソロパートを演奏する数人が場所を移動したりして練習し始めた。部活後、中谷教諭は「生徒たちのモチベーションは今、過去一に上がっています」と話す。
だが、新年度に部活動が始まった当初、部員には諦めの空気が漂っていたという。
元日に発生した能登半島地震の影響で、3月までは教職員と生徒が金沢市に避難し共同生活を送る「集団避難」があり、部活が再開できたのは4月下旬からだった。
「他の学校はもう仕上げてる」「どうせ出てもうまくいかないし」「周りから『地震があったから仕上がってない』って言われるの嫌やし」
仮設住宅で過ごす部員や精神面で課題を抱える部員もいた。
難易度の高い「海の曲」
例年、3年生はコンクールに出場後、学校で演奏会を開いて引退する。中谷教諭らは部員と話し合いを重ねた。モチベーションが低いまま、お世話になった方に感謝を伝えられるのか。達成感が得られるのはどういう状況なのか。
中谷教諭は「めざせ金賞と思…